秘書の仕事にハマった愛知移民

勝手に秘書に任命され、泣きながら始めたものの、いつの間にか秘書の仕事にどっぷり。ただ今後、担当者として会社の本業に深く関わるお仕事をしてみたかったので、2015年6月、ボスの引退とともに秘書業を卒業しました。これから秘書になりたい人や、突然秘書になれと命令された人のために、秘書の仕事で得たものを書き残します。ちなみに手土産になるお菓子リサーチは、もはや趣味でやるノリになってしまったので、今後もゆるゆる続くと思われます。気が向いたら紹介していきます~

秘書の電話対応-その1 (秘書自身がかけたり、受けたりするときの対応)

秘書にとって重要なツール【電話】

 

 秘書になると、電話やメールの量が膨大になります。それはもう予想以上です。
aichi-hisho.hatenablog.com

 …と、以前くどくど述べましたが、量のすごさについて語るのはこの辺でやめて、内容に入りたいと思います。

 

 まずは、電話です。シチュエーションで5つにわけてみました。

1.スケジュール調整依頼の電話

2.ボスあての相談や連絡の電話

3.こちらから電話をかける場合

4.ボスとの電話

5.ボスの家族との電話

 

1.スケジュール調整依頼の電話

 基本的には秘書で対処が可能です。定期的に入る予定や、ボスがあらかじめ入れていいよと言っている予定など、わざわざ確認をとるまでもないものは、そのまま日程調整に入ります。

 ボスが会ったことのない相手や、初めての案件、会社が休みの日のスケジュールなど、相談が必要そうな場合は、電話を一度切り、ボスに確認をとってから日程調整に入ります。

 当然ながら、相手の連絡先をきちんと聞いておくことが最も重要です。

都合が悪くなってしまったときや、後で確認したいことができたときなどのためにも、相手の会社名・名前・電話番号を忘れずに聞いておきます。

 

 可能であれば、メールアドレスを聞き出して確認のメールを送っておくと、双方の認識違いによる悲劇を防ぐことができます。面倒なように思われるのですが、合意をした後の情報共有については、簡単に文字に残すためにもメールをお勧めします。基本的には、お願いごとやお礼、お詫びなどの感情を伝える場合は電話を使い、連絡や情報共有はメールでやりとりする方が、双方の認識違いが発生しにくいです。

 

2.ボスあての相談や連絡の電話

(1)相手がよく知っている人の場合

 ボスにそのままつなぐ。

 ボスが不在の場合は、「あいにく××(ボス)は出張中でございます。明後日に出社の予定でございますが、出社次第こちらからお電話させていただくということでいかがでしょうか。」と提案してみる。それで遅いという場合は、先方の連絡先といつまでに連絡する必要があるのかを聞き、必要に応じてボスへのコンタクトを試みる。すぐには連絡できないかもしれないことを、相手に了承してもらうことも忘れずに。

 ここで「お差し支えなければご伝言を承りますが、いかがでしょうか。」などの提案をしてみると、実はただの日程調整だったとか、ほかの担当者でも対応できそうな内容だっただとか、意外とすぐに解決することもあります。もしも担当者で対応できそうな内容の場合は、「その件につきまして、担当の者なら在席しておりますので、よろしければお取り次ぎいたしますが、いかがでしょうか。」と尋ねてみて、相手が乗り気ならつないで完了です。先方も忘れないうちに伝えることができてスッキリするようですし、本当に伝言を聞くだけで終わったとしても、ボスが案件をあらかじめ把握した状態でスムーズに電話できるメリットもあります。「内容をお伺いしてもよろしいでしょうか。」など、ズバリ聞いてしまうのは、不信感を持っているようなニュアンスがあるような気もするし、やりすぎのような気もして、気が引けますが、「ご伝言を承ります。」ならバッチリです。

 

(2)相手が知らない人の場合

 「確認いたしますので、少々お待ちください。」という本人がいるかいないかよくわからない言葉を残して保留にし、ボスまたはしかるべき人に確認をとります。すぐに確認できない場合は、「恐れ入りますが、確認次第、折り返しお電話させていただきますので、ご連絡先をお教えいただけますでしょうか。」と伝え、連絡先を聞いていったん切ります。

 

(3)相手が名乗らない場合や、連絡先を教えてくれない場合

 時には怪しい電話もかかってきます。ベストな対応は、「会社にいるかいないかわからない」ように、もっと言えば、「在籍しているかわからない」くらい相手に情報を与えない対応です。相手がきちんと名乗らない場合は、特に怪しい。たまに本当に偉い人が名乗らずにかけてくることもありうるので、なかなか難しいところなのですが、勇気を出します。

「恐れ入りますが」というクッション言葉を武器に、丁寧なやわらかい物腰を隠れ蓑に、きっちり聞き出しましょう。

 

・名乗ってくれなかった場合

 「恐れ入りますが、お名前をお聞かせいただけますでしょうか。」

・相手の声が聞き取りづらく、聞き直したい場合

 「恐れ入りますが、お名前はどのような漢字を書きますでしょうか。」

 「お電話が遠いようでございます。恐れ入りますが、もう一度おっしゃっていただけますでしょうか。」

「念のため、確認させていただきたいのですが、〜でよろしいでしょうか。」

・相手の社名が明らかに略称などで、聞いたことのない社名の場合

 「恐れ入りますが、御社の正式な社名を教えていただけますでしょうか。」

「確認の上、折り返しのご連絡をさせていただきたく存じます。ご連絡先をお教えいただけますでしょうか。」

・強敵で自分の手に負えなさそうな場合

 申し訳ございません。私ではわかりかねますので、よくわかる者と代わって、お話を伺います。少々お待ちいただけますでしょうか。

 

3.こちらから電話をかける場合

(1)相手がこちら側のことを知っている場合

 「こんにちは。~社の○と申します。いつもお世話になっております。

 恐れ入りますが、△様はお見えになりますでしょうか。」

 

※△が出た場合

 △「はい、△です。」

「お呼び立ていたしまして申し訳ございません。ただいま、お時間よろしいでしょうか。」→相手は電話に直接出たわけではないときは、何かを中断して出てもらっているのかもしれません。わざわざ呼び出して出ていただいたことに言及し詫び、まずは相手の都合を聞きます。

 

※△が不在の場合

 「恐れ入りますが、△様にご伝言をお願いできますでしょうか。」

 →本人が不在の場合は、電話に出た人に伝言を依頼する。こちらの連絡先もあわせて伝える。

 忙しい人は、ほとんど席をはずしているため、いくらかけなおしてもつながりません。席に戻った相手は、電話メモを見て優先順位を判断し、わずかにできた隙間の時間で優先順位の高そうなところから折り返しの電話をします。つまり、優先順位を判断できる内容を電話メモに残してもらうことが重要です。「~の件」など、相手方がピンとくるようなキーワードがあればベスト。また、こちら側が電話を受けられない時間がある場合や、いつまでに話をする必要があるなどの期限がある場合は、あわせて伝えておくとベターです。

ボスの代理の場合は、「××(ボス)の代理でお電話させていただきました。」と伝えておきます。

 

電話の繋ぎ方については、また別の機会に紹介します。

 

(2)こちら側のことを知らないかもしれない場合

  まずは、電話に出た人に取り次いでもらうことが重要です。

  以下3点を意識して伝え、「恐れ入りますが、△様にお取次ぎいただけますでしょうか。」とお願いします。すぐに取り次いでもらえなかった場合は、こちらの連絡先と電話に対応できるタイミングを伝えます。

①できる限り相手に不信感を与えないよう、自分の身分をはっきり伝える。

 「~社××(ボス)の秘書の○と申します。」

②ボス同士で面識がある場合は、それをアピールする。

 「△様には、~社で・・・の際に、××(ボス)が大変お世話になり、・・・」

③要件を伝えられる場合は、伝える。

 「このたびお電話させていただきましたのは、△様に××が折り入ってご相談させていただきたいことがあるとのことで…」

 

4.ボスとの電話

 (1)ボスから電話があった場合

①最初と最後は、ねぎらいの言葉をかける

最初「お疲れ様でございます。」

最後「あまりご無理をなさらないように」「お気をつけて」など

※「ご苦労様(目下の人への言葉)」はNGです。

 

②まずは上司の話を聞き、そのあとで重要度・緊急度の高いものから伝える

こちらから伝えたいことがあるときであっても、上司からの報告や指示をまずは聞き、それば終わってから自分の報告をします。報告の際には、用件の数を最初に述べてから順番に報告すると、聞き手がわかりやすいです。

 

(2)ボスに電話をかける場合

①他社にかけてボスを呼び出してもらう場合

 申し訳ございません。御社に伺っております私どもの○○(ボス)を呼び出していただけませんでしょうか。

 

②ボスのケータイにかける場合

 ボスのスケジュールをしっかりチェックしてからかけます。重要な会議や接待の途中で秘書からのケータイが鳴ると、「こんなに重要な会議の途中でかけてくるとは、さぞ緊急の案件に違いない。身内の危篤か!?」などと思わせてしまいます。本当にボスの身内の危篤など緊急事態であれば、勇気を出して電話するべきところだと思いますが、ボスとあらかじめ話をして、どういうときにケータイを鳴らして良いか合意しておくとやりやすいです。

 

4.ボスの家族との電話

 通常、社外の人とボスのことを話す場合は、ボスを呼び捨てにします。ただし、ボスの家族と話す場合は、ボスに対して敬語を使います。ボスの家族は、秘書である自分よりもより近い存在だからです。要注意。

・呼び方→「社長さん」「××社長」

・敬語→尊敬語「いらっしゃいます」など。へりくだる謙譲語は使いません。

 

電話に関しては、以上です。