秘書の仕事にハマった愛知移民

勝手に秘書に任命され、泣きながら始めたものの、いつの間にか秘書の仕事にどっぷり。ただ今後、担当者として会社の本業に深く関わるお仕事をしてみたかったので、2015年6月、ボスの引退とともに秘書業を卒業しました。これから秘書になりたい人や、突然秘書になれと命令された人のために、秘書の仕事で得たものを書き残します。ちなみに手土産になるお菓子リサーチは、もはや趣味でやるノリになってしまったので、今後もゆるゆる続くと思われます。気が向いたら紹介していきます~

秘書の電話対応-その2(ボスの電話をつなぐ)

【ボスが自分で電話をせず、秘書にかけさせるのはなぜ?】

 

ボスの電話をつなぐということも、秘書の仕事として求められることがあります。秘書の仕事をしている人にとっては一般的で、当たり前のような感覚ではありますが、経験のない人にとっては違和感があるのではないでしょうか。

「偉そうだな」とか、「電話くらい自分でかければいいのに」とか思いますよね。

 

私が秘書になりたての頃、ボスに「○○さんに電話をつないでもらえる?」と言われ、頭がはてなマークでいっぱいになったことを覚えています。

「なんでわざわざ間に入ってつなぐ必要があるのかしら。こちらから用事があって電話をするのに、相手が出たらボスに取り次ぐ間の時間、待たせることになってしまうし…失礼ではないのかしら。」と思いました。

今日は、このことについて詳しく書いていこうと思います。

 

まず、受ける側の都合から説明していきます。

電話が鳴ったときに、ケータイのように相手の名前がわかれば苦労はないのですが、オフィスの電話は、ディスプレイのついていないものも多くあります。少なくとも私のオフィスでは、ディスプレイへの表示がありません。なぜなら、ディスプレイに電話番号を表示するサービスは有料だからです。つまり、少なくとも私のオフィスでは、いつだって電話は突然で、相手がわからない状況で受けています東証一部上場の大企業であっても、です。

 

突然、偉い人から直接電話があったとき。ボス本人がいれば、そのまま偉い人同士で話をしていただけるので、問題ありません。

ただ、ほとんどの場合、ボスはすぐに話ができる状況ではないと思います。秘書がつくような人のスケジュールは、ほとんどの場合、会議や出張が、一般従業員とは比較にならないほど多いからです。

 

それでも、秘書であればボスの交友関係を把握している場合が多いため、スムーズに取り次ぐことができます。

なお、ボス不在時の電話対応として、一般的な手順は以下の通りです。

  1. ボスの不在を伝える
  2. ボスの戻りのおよその時間を伝え、戻ってからでも良いか確認する
  3. 相手がそれでよいと言う場合は、折り返しの電話をすると伝える
  4. 相手の都合の良い時間と連絡先を聞いておく
  5. ボスに伝えておくことがないか確認する
  6. 電話を切り、ボスが戻り次第、ボスに相手の話を伝え、指示を仰ぐ
  7. 状況に応じて速やかに電話を取り次ぐ

※相手が急ぎの場合は、代わりの人で対応できるような内容ではないかも確認し、代理対応が不可能な場合は、必要や状況に応じてボスに連絡する。

 

来客対応等で席をはずしている場合は、秘書以外の従業員が電話の対応をすることになります。多くの場合、受けた人は電話を取った瞬間に青ざめ、「よくわからないけど、えらいひとからの電話だ!!!」と慌てふためきます。大抵、上記のような対応はできません。

 

このように、せっかく偉い人がみずから電話をかけたとしても、そのタイミングで本人同士が話をすることができる可能性は低く、また、話をしたい相手が不在の場合、代わりに電話に出た相手とのやりとりで、時間を無駄にしてしまう可能性が高いのです。スムーズにいったとしても、1分はかかります。

 

この1分のロスがどのような感覚か、数字で考えてみます。

年商1千億円の会社の社長だとすると…

1千億円/365日/24時間/60分=約19万円

つまり、「1分で19万を稼ぎ出す会社の社長」ということです。

何も生み出さない1分間の電話に、この社長の時間と労力をかけますか?

このように考えると、秘書があらかじめ相手に電話をかけて都合を確認してからボスにつなぐということが、意味のあることだと思えてきます

 

次に、電話をかける側の状況を説明していきます。

 

ボスから見て下の立場の人に電話をかける場合は、先ほど述べたように、遠慮なく秘書から電話をかけて、相手の都合を聞いてからボスにつなげば良いです。用事があるのはこちらの側なのに…とも思いますが、判断するのはボス自身です。ボスが、秘書からかけて大丈夫と判断するなら大丈夫です。ビジネスマンの世界は、自分が想像していたよりも、縦社会です。

 

一方、ボスが自分よりも上の立場の人にかける場合。

相手が直接電話口に出るような、ケータイや自宅の電話にかけるときには、多くの場合、秘書にかけさせず、ボス自身が自分で電話をかけると思います。

しかし、最もメジャーなのは、目上の相手のオフィスにかけるというパターンです。この場合は、遠慮なく秘書が取り次いでOKです。なぜなら、秘書がついている立場のボスよりも上の立場の人であれば、通常は秘書がついているからです。

むしろ、相手もボスも多忙なので、秘書同士でボスたちの都合を確認し、すり合わせをして時間を決めてから取り次ぐのが一般的です。

このような働きによってボスたちは、無駄なやり取りに一切時間を費やすことなく「会議から戻った瞬間に秘書から渡された受話器に耳を当て、お望みの相手と重要な話をし、終わり次第すぐに歩き出しながら秘書に指示を出し、次の会議に移る」ことができるわけです。

 

具体的な電話のつなぎ方については、次の機会に書きます。

本日は、以上です。