秘書の仕事にハマった愛知移民

勝手に秘書に任命され、泣きながら始めたものの、いつの間にか秘書の仕事にどっぷり。ただ今後、担当者として会社の本業に深く関わるお仕事をしてみたかったので、2015年6月、ボスの引退とともに秘書業を卒業しました。これから秘書になりたい人や、突然秘書になれと命令された人のために、秘書の仕事で得たものを書き残します。ちなみに手土産になるお菓子リサーチは、もはや趣味でやるノリになってしまったので、今後もゆるゆる続くと思われます。気が向いたら紹介していきます~

ボスのコンタクトをサポート 秘書の交際サポート業務その2(接遇や事務や手配など)後半その1

前回は、「ボスの交際に伴う接遇や事務作業」について

秘書がやることは、「慶弔式典等の対応、書状や贈答の準備、接遇や手配」が主であることと、その仕事は「ボスの人脈を維持・向上する信頼関係を築くためのお手伝い」であると説明しました。

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しかしながら、実施項目だけを書き連ねても全く頭に入らないと思いますので、具体的にどういう場面でどう行うのか説明していきたいと思います。

 

ボスが貴重な人脈を維持・向上するために、ボスは以下のような行動を相手に示す必要があり、秘書はそれを実際に行う手伝いをします。

 

1.定期的にコンタクトをとる(訪問・来客)

2.会ってもらうときには相手をもてなす(接遇・接待)

3.節目には手紙や贈り物を届ける(挨拶状、歳暮)

4.特別な相手の厚意には都度、感謝を伝える(お礼状)

5.相手の慶弔にはお祝いや哀悼を伝える(メッセージ、花・金、式への出席)

 

プライベートでも、大切な人に対して同じようなことをしますよね。

 

「交際マナーなんて単なる常識じゃないの。」とおっしゃる方もいますが、正式な交際マナーが全て身についている自信がある人以外は、油断せず慎重に取り組むべきです。

常識だわ、と適当に済ませてしまった結果、相手の誤解を招き不快に思われては、逆効果を招きかねません。

 

交際マナーを正確に行うことは、秘書としての専門スキルの一つであり、ボスからアドバイスを求められることも多い分野だと思います。突然、さらに急ぎで対応する必要があることも多いので、注意すべきポイントだけは頭に入れておきましょう。

 

それではさっそく、先ほど紹介したボスの5つの行動にあわせて秘書の仕事を紹介していきます。

本日は、1.定期的にコンタクトをとる(訪問・来客) サポート業務について説明します。

 

貴重な人脈を維持するためには、定期的に相手に会うことが効果的です。初めて会った人と名刺交換をして、その後ずっと連絡をとらなければ、相手のことを忘れてしまいますね。

 

商談や担当者交代などの理由で面会することもあれば、用事がない場合は、いわゆる「表敬訪問」という形で面会を申し出ることもあります。

表敬訪問の例としては、「年末・年始、期末・期初などの節目のご挨拶」「帰国の機会にご挨拶を」「近くに行くので」などのパターンが多いです。

 

秘書の立場から最も重要な判断をすべきポイントは、次の2点です。

(1)ビジネスかプライベートか(代理対応が可能か)

(2)遠方の人や転任挨拶か、それ以外か(今後は会うことが困難になるか)

 

(1)については、代理対応を含めて考えるかを判断します。ビジネスの話であれば、案件を進める必要がありますので、代理や同席を含めて対応を考えるべきです。

一方、プライベートであれば、ボス本人が出なければ意味がないのですが、基本的に緊急度や重要度は高くありませんので、ボスの都合にあわせて日程調整をすれば良いです。

 

ただし、(2)遠方の人や転任挨拶の場合は例外的に優先度が高くなります。

この機会を逃すと会うことが難しくなる人については、ボスとの関係にもよりますが、基本的にはできる限り優先して時間を作る必要があります。経験上、アポなしであっても、ボスが社内で会議中の場合は、少し抜け出して顔見せだけでもすることが多かったです。

それ以外の挨拶の場合は、今後いつでも会えるという点で、そこまで無理して優先する必要はありません。

 

それではこれから、ボスが訪問するときの場合と、ボスへの来客を受ける場合の2つパターンに分けて説明していきます。

 

 

1. 訪問 出張準備

 

1)日程調整

  訪問アポイントの指示を受けたら、まずは以下の3点を確認します。

 

(1)訪問相手と訪問拠点を確認する

失礼が無いように、訪問相手の役職と氏名はしっかり確認します。 名刺や担当部署の管理情報、ネットなどで調べるのが基本ですが、自信が無ければ相手の秘書に聞いてしまっても良いと思います。

大きな会社の場合、拠点がいくつもあるので、相手の勤務地に間違いがないか確認します。同じ会社で複数の人に会う場合は、同じ拠点でも建物同士がかなり離れている場合がありますので、要注意です。

 

(2)相手に伝える用件の有無を確認する 

社会的地位の高い相手であればあるほど多忙になりますし、基本的には時間を「作っていただく」こととなります。

時間を作るに値する優先度の高さを相手に認識してもらうために、どういった内容の話なのかを事前に伝えた方が良い場合もあります。

ただし、案件の確認はあまりしない方が良いケースもありますし(ボスが言いたがらない場合は、詮索してはいけません。)、重要でもあまり明確な内容を言えない場合もあります。そのような場合は、「重要なご相談が」「急ぎご報告申し上げたいことが」などと伝えます。

それで相手からなかなか時間をもらえない場合は、仕方がありませんので、ボスに状況を伝えましょう。必要があれば、ボスから直接、または担当者に指示して詳しい内容を説明するでしょう。

 

 (3)希望の日時や期間を確認する

ビジネスの話をしに行く場合は、タイミングが非常に重要です。「こちらが希望した日時に相手も時間が空いている」という状況は、非常に稀ですので、事前に「いつ頃までに設定する必要があるか」を確認する必要があります。

 

なお、相手に連絡を取ったときに相手の予定とうまく予定が合わず、設定できない場合の対応手段は、以下3つです。

 

・場所や日時の選択肢を増やす

・相手に事情を伝えて時間を空けてもらう

・どちらか代理で対応することを検討する

 

相手から避けられているかもしれない、しつこくすると良くないかもしれない、と思った場合は、「どうやらお忙しいようですので、少し時間を置いて落ち着いた頃にまたご連絡を入れる形でもよろしいでしょうか。」とボスに提案してみるのもヨシ、です。

 

2)ボスの意向確認と手配

訪問日時が決まったら、あとは以下3点を確認します。

 

 (1)同行者の有無と持っていく資料

同行者がいる場合、同行者が段取りと手配を行うことが多いです。実際に現地に同行する人がやってくれるなら、お任せしましょう。 

基本的には、同行者や資料作成を秘書で勝手に決めることはしません。ただし、例えばボスに「いつも事前に指示しないけれども、直前になってから同席や資料の指示をする」クセがあり、それで困っているという場合は、あらかじめ秘書から担当部署に連絡しておくことで、仕事が円滑になります。

秘書から勝手に指示をしてはならないのが基本ではありますが、このようにボスの仕事の仕方を踏まえて気を回すことは、秘書の大切な働きの一つです。

 

(2)希望の交通機関と希望の宿泊先

私の場合は、まずは自分で交通機関と宿泊先の候補をピックアップして、旅程を作成してみてから、ボスに報告して確認をとっていました。白紙で尋ねられるよりは、たたき台を確認する方が楽ですよね。

交通機関予約のポイントは、喫煙の有無窓側・通路側の希望グリーン車か普通車か時間の余裕をどれくらいみるか。

宿泊先予約のポイントは、アクセスの良さのほか、喫煙の有無コスト意識ベッドサイズサービスへのこだわり、朝食を付けるか。本人のお気に入りがあれば、そこを予約すればよいでしょう。

おそらく多くの秘書は、秘書になった初期にそういったポイントを確認してメモしておき、その基準で手配を進めていきます

 

(3)希望の手土産

ボスが必要だと判断すれば、手配します。しかし、「ボスが毎回、直前になってから手配が難しい手土産の指示をする」という場合は困りますよね。

私の場合、相手側へ面倒なお願いをしに行く場合や、相手の厚意を受ける場合は、手土産の手配を指示されるパターンが多かったので、自分からボスに確認をしていました。

 

3)細かい手配と準備

 

一般的には、日程表を作成し、面会の時間・場所・メンバー(初めての相手であれば略歴も事前に入手)・持参資料や手土産等の手配内容を記載してボスに渡します。

最近はクールビズも一般的になってきていますので、面会相手や同行者の秘書や担当者同士であらかじめ連絡を取り合い、ドレスコード(ネクタイ・ジャケットの要否)を確認した方が良い場合もあります。

初めての訪問の場合は、セキュリティの対応方法を含めた入館方法や受付の方法も確認しておきましょう。車で行く場合は、駐車場への入場方法や運転手の待機方法もあわせて確認します。

今はネットで調べることができる情報も多いですが、相手の会社のことは相手の秘書にまとめて確認するのが楽です。コミュニケーションの一つだと思って、どんどん相談してください。聞かれる方もだいたい慣れていますので、大して迷惑でもありません。

   

なお、電車を利用する場合は、駅構内も含めてアクセスルートを確認しておきましょう。最寄り駅にタクシーが常駐しているか不明な場合は、それも相手の秘書に聞いてください。あと、意外と忘れがちなのが、同行者との集合場所の確認。面倒ですが、「○階の受付に○時に集合」など、細かく決めておいた方が良いです。怠るとボスたちが迷子になります。

 

 

2.来客 来客受付

 

1)アポイントを受ける

ボスあての面会依頼を受けます。

ボスにとって優先度の高い面会依頼は、ほかの予定をキャンセルしてでも受けます。優先度は、緊急度とボスにとっての重要度で決まります。「既にある予定を動かすのは面倒だから」「秘書と仲良しだから」という理由は、理由になりません。

最初に書きましたが、アポイントを受ける際に、以下2点は必ず意識します。

優先度や対応がわからない場合は、以下2点についてきちんと把握した上で、ボスに確認をとりましょう。

  1. ビジネスかプライベートか(代理対応が可能か)
  2. 遠方の人や転任挨拶か、それ以外か(今後は会うことが困難になるか)

 

2)来訪者の取り次ぎを行う

その時の状況に応じて、ボスに取り次いだり取り次がなかったりします。

自分で考えると難しいですが、基本パターンを頭に入れておけば、そんなに難しくありません。

 

(1)アポイントの有無を確認する

(2)アポイントありの場合は、ボスに取り次ぐ

(3)アポイントなしの場合、下記パターンで対応する

 

・ビジネス案件の場合または案件が不明の場合

 ボスに確認をとれる状況であれば、確認をとる

 ボスの都合がつかない場合、来訪者に代理で良いかを確認する

 

・プライベートの場合

 ボスに確認をとれる状況であれば、確認をとる

 ボスの都合が悪ければ、基本は諦めていただく。ただし、せっかくご足労いただいたのにお断りするので、こちらから連絡を取って相手の都合に極力合わせる形で再度日程調整を行う

 ただし、遠方からのお客様など滅多に会うことができない相手の場合は、通常よりも、なるべく取り次ぐ方向で確認をとる。

特に、転任の挨拶の場合は優先。取締役会などの重要会議の場合をのぞき、社内にボスがいる場合はすぐに確認する。ボスに忙しい、体調が良くないといった理由で取り次がないように言われていたとしても、転勤の挨拶は短時間で済むのが一般的なので、取り次ぐ方向でボスに確認をとる。

 

本日は、以上です。