株主総会と役員の選任(コーポレートガバナンスコード)
6月とは。
上場企業にとっては最大の大イベント、株主総会のシーズンです。
今日のテーマは、株主総会と役員選任。
知らなくても秘書の仕事はできますが、
質の高い仕事をするために、知っておいて損はないです。
さて、株主総会とは?
上場企業においては、新任の取締役と監査役も、そこで承認を経て就任します。
株主は会社に資金提供する出資者で、
会社のオーナーとされており、
株主から否認されると、いくら社長がわめいても就任させることができません。
「社長がオーナー」ではないのです。
なお、取締役には会長、社長、専務や常務といった肩書が付与されていることがありますが、
これらは会社法において定められたものではなく、各会社が独自に付与したものです。
つまり「取締役かそうでないか」
が、法的な権限の違いであり、
それ以外については社内での序列づけに過ぎません。
さて近年では、役員人事も含めた企業統治のあり方への関心が高まりつつありますが、これはコーポレートガバナンスコードが施行されたことも影響しています。
コーポレートガバナンスコードは、
「経営を透明化し、適正な批判を受け入れられる企業統治のあり方」を原則として定めており、「この原則に従うか、従わない場合は従わない理由を説明すること」を上場企業に求めています。
くだけた表現にすると、
「会社は株主のものなのだから、
株主の利益になる経営体制を心がけ、
経営状況はきちんと報告しなさい。
コーポレートガバナンスコードの原則に
従えばそれが出来ますが、
従わなくても構いません。
ただし、従わない場合は、
従わない理由を説明しなさい。」
と定めているわけです。
例えば、
コーポレートガバナンスコードで定める
「経営を透明化し、適正な批判を受け入れられる企業統治のあり方」原則の一例に、
「独立役員を確保すること」という原則があります。
独立した立場の役員を会社経営に入れて、
会社が株主にとって不利益になる経営をしていないかを監視させるしくみです。
ちなみに、ここで定められている
独立役員とは
会社側の解釈と株主側の解釈では
「独立しているか」という観点で、
見解に違いが出ることがあります。
その結果、株主が
「独立役員として就任するという議案になっているけれども、取引先の会社の人は、独立した立場の人ではないではないか。原則とは違う。説明しろ!」と主張し、
ときには「納得できない。否認!」
というように、コーポレートガバナンスコードを取り出して役員人事を否認する場合もあるかもしれません。
まとめると、こんな感じです。
・コーポレートガバナンスコードによって、上場企業は原則通りの運用または株主への説明をきちんと行うことが求められており、世間でその認識が広がりつつある。
→これまで以上に、説明のための準備が大変かもしれません。
ボスが取締役の場合は、ボスの様子を伺い、適切に相談しつつ、総会の前後はスケジュールを詰め過ぎないように。
→ボスはどんな立場でしょう。
国内外で株式投資が活発に行われるなか、投資家は会社が株式にとって不利益になることをしていないか、コーポレートガバナンスコードも視野に入れ、厳しい目を向けるようになると考えられます。
さて本題の秘書の働きにどう役に立つかということですが、
秘書の仕事は
相手の立場を想像することが仕事のクオリティ向上につながることは多いです。
ガバナンスとか原則とか、
私はそういう難しそうな言葉を目にするだけで
サジを投げたくなるのですが、
だからこそ、そういう人にも理解してもらえるように、この記事を書きました。
ほんのちょこっと、概要を知っているだけでも
良いと思うのです。
立場や状況を想像することに役立てば良いなと思います。
本日は、以上です。