秘書の集まり(セミナー等)を覗いてみる
今週のお題「今年見に行ってよかったもの」ということですが、それは秘書同士の集まり(研修会やセミナー)です。
なぜかと言うと
結論から述べますと、非常に楽しく、大変勉強になり、良い刺激になるからです。
以前、「秘書には業界による違いや、会社の組織による違いがある。しかし、秘書の仕事は、どの業界や会社であっても、大部分が共通している。」と述べました。
その共通している基本部分については、どの秘書も同じような悩みを持ち、同じような努力をしています。
そこで、秘書のセミナーや研修に顔を出すと、様々な苦労や裏ワザをシェアすることができるのです。いわゆるヒショヒショ話。
例えば接待ネタだと「うちのボス、最近 太ってきちゃって…どうやってダイエットしてもらえばいいかしら。」とか「いいお店ないかしら。」とか。
外資系の秘書には「英語でお客様をご案内しなきゃいけないんだけど、いい勉強法あるかしら。」とか「外国人のお客様が相手だと、どういうお手土産が喜ばれますか。」とか。
さらには、兼務秘書や社長秘書など、組織の立場特有の悩みで社内ではなかなか共感してもらえない内容も、似たような立場の秘書さんと出会うことによってシェアすることが可能です。
立場特有の悩みについては、社内だと相談しにくい場合も多いのです。ボスのほかに、自分の組織の直属の上司がきちんと対応してくれるなら良いのですが、上司が秘書の仕事を理解していないケースや、介入したがらない場合もあるからです。同じ立場の人が何人もいるような会社は稀でしょうし、いたとしても相談しにくいこともあります。
良い出会いがあれば、裏ワザを教えてもらうだけでなく、向上心を高めあったり、ストレス解消になったり、いいこといっぱいです。講師の方との出会いも大きいと思います。
私自身、恥ずかしいことに秘書になる前は「秘書=指示待ち人間」のイメージがあったので、最初は仕事に対して後ろ向きな気持ちでした。でも、秘書になって1ヶ月後、会社の費用で東京秘書協会の秘書セミナーに行かせてもらってから、秘書という仕事に対する考え方が変わりました。
そのおかげで、秘書の仕事に積極的になり、ボスのためにより良いサポートができるよう自発的に考えて勉強し、実行する姿勢でいることができたと感じています。
まずは、能率協会や秘書協会のセミナーが手っ取り早いです。能率協会の参加費はすごく高いので、会社の費用で行けるなら能率協会でも良いと思いますが、秘書協会のセミナーの方がリーズナブルな印象です。私は秘書協会のセミナーを受けましたが、初心者用の内容としてきちんとしており、魅力的な講師の方もいらっしゃっていました。
参加費無料のものだと、ぐるなびの「こちら秘書室」もあります。東京や大阪まで足を伸ばせるなら、セミナーや試食会などに参加できます。名古屋の秘書には厳しいですが…
私の場合は、ボスが東京で接待する機会が多かったので、土日に開催された試食会兼マナー講座に出かけました。安い参加費ですが、一流レストランのお食事を楽しめました。
私は今年、秘書業を引退しましたので、秘書セミナーとも試食会とも今年でサヨナラです。(セミナー組織自体との関わりも特に目的としておりませんし。)
ただ、そこで学んだことはビジネスマンとして社会的な人間として大切なことなので、これからの仕事にもプライベートにも、もちろん応用していくつもりです。
今年も他社の秘書が集まる場を見に行ったことと、それを受けて勉強し、最後まで積極的に秘書の仕事に取り組めたのは、本当に良かったと思います。
なんだか学生の日記みたいになりましたが、本日は以上です。
秘書検定 1級の面接案内が届きました〜
ドキドキしながら待っていた秘書検定1級の筆記試験結果。
秘書の電話対応-その2(ボスの電話をつなぐ)
【ボスが自分で電話をせず、秘書にかけさせるのはなぜ?】
ボスの電話をつなぐということも、秘書の仕事として求められることがあります。秘書の仕事をしている人にとっては一般的で、当たり前のような感覚ではありますが、経験のない人にとっては違和感があるのではないでしょうか。
「偉そうだな」とか、「電話くらい自分でかければいいのに」とか思いますよね。
私が秘書になりたての頃、ボスに「○○さんに電話をつないでもらえる?」と言われ、頭がはてなマークでいっぱいになったことを覚えています。
「なんでわざわざ間に入ってつなぐ必要があるのかしら。こちらから用事があって電話をするのに、相手が出たらボスに取り次ぐ間の時間、待たせることになってしまうし…失礼ではないのかしら。」と思いました。
今日は、このことについて詳しく書いていこうと思います。
まず、受ける側の都合から説明していきます。
電話が鳴ったときに、ケータイのように相手の名前がわかれば苦労はないのですが、オフィスの電話は、ディスプレイのついていないものも多くあります。少なくとも私のオフィスでは、ディスプレイへの表示がありません。なぜなら、ディスプレイに電話番号を表示するサービスは有料だからです。つまり、少なくとも私のオフィスでは、いつだって電話は突然で、相手がわからない状況で受けています。東証一部上場の大企業であっても、です。
突然、偉い人から直接電話があったとき。ボス本人がいれば、そのまま偉い人同士で話をしていただけるので、問題ありません。
ただ、ほとんどの場合、ボスはすぐに話ができる状況ではないと思います。秘書がつくような人のスケジュールは、ほとんどの場合、会議や出張が、一般従業員とは比較にならないほど多いからです。
それでも、秘書であればボスの交友関係を把握している場合が多いため、スムーズに取り次ぐことができます。
なお、ボス不在時の電話対応として、一般的な手順は以下の通りです。
- ボスの不在を伝える
- ボスの戻りのおよその時間を伝え、戻ってからでも良いか確認する
- 相手がそれでよいと言う場合は、折り返しの電話をすると伝える
- 相手の都合の良い時間と連絡先を聞いておく
- ボスに伝えておくことがないか確認する
- 電話を切り、ボスが戻り次第、ボスに相手の話を伝え、指示を仰ぐ
- 状況に応じて速やかに電話を取り次ぐ
※相手が急ぎの場合は、代わりの人で対応できるような内容ではないかも確認し、代理対応が不可能な場合は、必要や状況に応じてボスに連絡する。
来客対応等で席をはずしている場合は、秘書以外の従業員が電話の対応をすることになります。多くの場合、受けた人は電話を取った瞬間に青ざめ、「よくわからないけど、えらいひとからの電話だ!!!」と慌てふためきます。大抵、上記のような対応はできません。
このように、せっかく偉い人がみずから電話をかけたとしても、そのタイミングで本人同士が話をすることができる可能性は低く、また、話をしたい相手が不在の場合、代わりに電話に出た相手とのやりとりで、時間を無駄にしてしまう可能性が高いのです。スムーズにいったとしても、1分はかかります。
この1分のロスがどのような感覚か、数字で考えてみます。
年商1千億円の会社の社長だとすると…
1千億円/365日/24時間/60分=約19万円
つまり、「1分で19万を稼ぎ出す会社の社長」ということです。
何も生み出さない1分間の電話に、この社長の時間と労力をかけますか?
このように考えると、秘書があらかじめ相手に電話をかけて都合を確認してからボスにつなぐということが、意味のあることだと思えてきます。
次に、電話をかける側の状況を説明していきます。
ボスから見て下の立場の人に電話をかける場合は、先ほど述べたように、遠慮なく秘書から電話をかけて、相手の都合を聞いてからボスにつなげば良いです。用事があるのはこちらの側なのに…とも思いますが、判断するのはボス自身です。ボスが、秘書からかけて大丈夫と判断するなら大丈夫です。ビジネスマンの世界は、自分が想像していたよりも、縦社会です。
一方、ボスが自分よりも上の立場の人にかける場合。
相手が直接電話口に出るような、ケータイや自宅の電話にかけるときには、多くの場合、秘書にかけさせず、ボス自身が自分で電話をかけると思います。
しかし、最もメジャーなのは、目上の相手のオフィスにかけるというパターンです。この場合は、遠慮なく秘書が取り次いでOKです。なぜなら、秘書がついている立場のボスよりも上の立場の人であれば、通常は秘書がついているからです。
むしろ、相手もボスも多忙なので、秘書同士でボスたちの都合を確認し、すり合わせをして時間を決めてから取り次ぐのが一般的です。
このような働きによってボスたちは、無駄なやり取りに一切時間を費やすことなく「会議から戻った瞬間に秘書から渡された受話器に耳を当て、お望みの相手と重要な話をし、終わり次第すぐに歩き出しながら秘書に指示を出し、次の会議に移る」ことができるわけです。
具体的な電話のつなぎ方については、次の機会に書きます。
本日は、以上です。
感じの良さを醸し出す振る舞い方
秘書に求められる最も重要なノウハウの一つが、相手がどんな方でも失礼のないように振る舞い、一定以上の感じの良さを演出することです。
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「恐れ入ります」を使いこなす「ありがとうございます」「申し訳ございません」との違い
秘書の仕事を始めてからは、いわゆる「クッション言葉」を多用していました。ストレートすぎる表現では相手に不愉快な思いを抱かせてしまいそうなシーンで、表現を和らげるために使います。
クッション言葉を用いることによって、相手の気持ちに配慮を示しながら伝えるべきことを伝え、円滑にコミュニケーションをとることができます。
もちろんたくさんのクッション言葉を活用できれば良いのですが、日常生活には馴染みのない言葉もあるので、使い慣れるまではサラッと出てこないです。
一つずつ意識的に使っていくとすれば、最初に攻略すべき言葉は、やはり「恐れ入ります」だと思います。
秘書の特徴である以下3点を考慮すると、秘書にとっては非常に便利だからです。
1. 格上の人たちと頻繁に接する環境
2. お願いごとやお礼、謝罪をきちんと伝えることが求められる
3. 相手に不愉快な思いを抱かせない対応が必要
なお、「恐れ入ります」の意味を調べてみると、三省堂の大辞林には、こう書かれていました。
1. 自分とって過分と思われる目上の人の行為に対しての感謝の気持ちをあらわす挨拶。大変ありがとうございます。
2.〔「おそれいりますが」の形で〕 目上の人や客などに,迷惑や骨折りに対して「申し訳ない」という気持ちでいう語。大変申し訳ありません。 「 -が,お名前をお教えいただけませんでしょうか」
つまり、整理するとこう。
・目上の人の行為に対して使う言葉である
→自分と同格かそれ以下の人や、自分自身が行う行為に対しては使いません。
・ありがたい気持ちと申し訳ない気持ちのときに使う言葉である
→それぞれの使い方を以下に書いてみます。
まず、ありがたい気持ちのときに使う場合。
・目上の人やお客様にちょっとした配慮をしていただいたとき。
例えば、エレベーターでウッカリ譲られちゃったようなとき。
サラッと「ありがとうございます」では、やってもらって当然というニュアンスに受け取られかねないので、自分には過分なことである、というニュアンスが欲しいところ。「大変ありがとうございます」では相手のちょっとした配慮に対してリアクションが大袈裟すぎる、ということで、もっとスマートな言葉が欲しいところ。
そこで、「恐れ入ります」が使えると、相手に対してへりくだりつつ、スマートかつ丁寧に感謝の気持ちを伝えられます。
・目上の人から褒められたとき。
例えば、「お美しいですね。」と言われ、「ありがとうございます」では不遜な印象を与えてしまいそうで、謙遜したいところではあるものの「そのようなことはございません」のように否定するようなことを言うと、せっかく褒めてくれた相手の気を悪くしてしまいそうな場合。「とんでもないことでございます。」という言葉も使えますが、「いやいや、…」と、しつこく言われることもあります。
こんな困った状況のときに使えるお助けワードが、「恐れ入ります」です。謙遜のニュアンスを含めてサラリとお礼を伝えて終わらせることができます。
次に、申し訳ない気持ちのときに使う場合。
海外の人が、日本人に対して「日本人はスミマセンを使いすぎ。自国でアイムソーリーを使うのは自分の非を認めたときだけ。」というコメントをすることがあります。日本人の中にも、自分が悪いことをしたわけでもないのに「申し訳ありませんが」や「すみませんが」を使うことに違和感を感じている人もいます。
しかしながら、例えば相手に対して面倒なことをお願いする場合は、迷惑をかけて申し訳ない…と負い目を感じますよね。お願いされた方だって、面倒なことを当然のようにお願いされると腹が立ちます。目上の相手に場合は特にですが、お願いして動いていただくからには、自分自身に非があるわけでなくても、手を煩わせて申し訳ないといったような気持ちは表現した方が、お互いのコミュニケーションが円滑になります。
外国人は、アイムソーリーを使わないでどうしているかというと、やはりクッション言葉のようです。Excuse me, but …だとかIf you don’t mind…だとかを使って、申し訳なさや遠慮がちなニュアンスを表現しています。「日本人はスミマセンが多い」という指摘は、何でもかんでも「スミマセン」をクッション言葉の代わりに使っているような状態のことを指していたのではないかと…微妙なニュアンスを含めて表現できるクッション言葉を使うことによって、このような誤解を解消することができるようになります。
具体的なシチュエーションだと、アポなしのお客様に「本日はお引き取りいただけますでしょうか」「お名前をおっしゃっていただけますでしょうか」と言うとキツい印象があります。とはいえ、こちらの落ち度があるわけでもなく、「申し訳ありませんが」と言うのも違和感がある…
そのような場合に、「恐れ入りますが」が便利です。こちらに落ち度はないけれども、相手を煩わせることや、自分の言葉で不快感を抱かせてしまうかもしれないことに対する申し訳なさを表現するために「恐れ入りますが、本日はお引き取りいただけますでしょうか」「恐れ入りますが、お名前をおっしゃっていただけますでしょうか」と伝えます。
なお、このときに使う「恐れ入りますが」の便利なところは、自分の立場としてはへりくだっているくせに、お願いの内容にわりと強めの強制力を持たせることができるところです。相手を尊重してへりくだりながらも、「帰ってくれ」「名乗ってくれ」と明確に伝え、相手にそれをしない選択肢を与えていません。
相手が動いてくれなくても問題ないお願いをする場合は、「お差し支えなければ」「もしもよろしければ」などのように、相手に選択してもらうような表現が優しいです。
このように「恐れ入ります」などのクッション言葉は、相手への配慮をスマートに表現したり、苦しい状況を乗り切ったりするための便利アイテムです。積極的に使うべし。
本日は、以上です。